ABOUT

チームについて

HEAD COACH

監督

総監督藤田 大輔DAISUKE FUJITA

兵庫県出身 1970年生まれ
中京大学体育学部卒業後、大阪府立高槻南高等学校でサッカー指導を始める

  1. 資格
    日本サッカー協会公認C級コーチ / 3級審判員 / 幼稚園教諭 / 中学校教諭 / 高等学校教諭
  2. 選手歴
    伊丹南小学校 / 伊丹南中 / 関西大倉高校 / 中京大学
  3. 座右の銘
    BURN BLUE(青く燃えろ)
指導歴
1993年
大阪府立高槻南高等学校
1995年
青英学園サッカークラブ
2008年
東海サッカースクール
2008年
NIFC東海
2013年
JSC SAKAIを創設。
JSC SAKAI総監督、ドリ塾 塾長を務める(現在)
2016年
JSC MATSUBARA U15を創設

サッカー指導者としての原点

私が子どもの頃は、今と違いJリーグもなかったので、サッカーが好きな子どもは高校サッカーをテレビで見る機会が多く、私もその一人でした。

そして、高校サッカーを見るうちに、将来は高校の体育の先生になってサッカーを教えたいという想いが湧き、サッカー指導を始める原点となりました。そのうえで、高校、中学校、幼稚園の教員をしたいという想いを持ちました。

順風満帆な日々に突如として起きた試練

JSC SAKAIを創設する前、私は幼稚園の教諭をしながら青英学園サッカークラブでサッカー指導をしていました。
結婚をして愛娘にも恵まれ、大好きなサッカー指導をしながら、大切な家族と暮らせる幸せな日々を過ごしていましたが、
突如2005年7月に上咽頭がんを宣告されました。

脳の真下にできたがんは既にゴルフボール大で、のどを突き破っていましたが、
幼稚園入園前の娘のためにも、私にとって負けられない闘いが始まりました。
がんが摘出不可能だったため、放射線治療が行われましたが痛みで眠れず、当時4歳の娘の「大丈夫?」という問いかけにも
答えられないほど、心身ともにボロボロでしたが、なんとか35回の放射線治療を乗り切り、
宣告から半年後に退院することができました。

その時、娘が覚えたての平仮名で、窓ガラスいっぱいに飾った
「おかえりなさい おとうさん」の文字を見た時には、感動で涙が溢れました。

私はこの時、「どこかで諦めていたら、今の幸せはなかった」と痛感しました。
だからこそ、これからは子どもたちにサッカーを通じて、
『諦めないで努力すれば必ず道は開ける』
このことを、伝えていこうと強く思いました。

JSC SAKAIの誕生へ

退院から2年後、検査でがんが消えて転移も無く、体の調子が良くなってきた頃、運良く知り合いのサッカースクールオーナーに誘われて、サッカー場の運営を任されました。

そこでは、サッカー場の運営のほかに、サッカーの指導もしていきましたが、チームとしてはまだ正式にJFA(日本サッカー協会)に登録するというレベルではありませんでした。ところが、ある時期にオーナーから、「どうせやるなら上手くて強いチームを創ってはどうか」と言われ、JFAへの登録も行い、正式なチームを立ち上げることになりました。

しかし、それからまもなく東日本大震災が起きました。人情深いオーナーは「多くの人が苦労している時に、夜ライトをつけてナイターでサッカーをするというのはどうなのだろうか」と思い、今はその時期ではないだろうということで、自粛するという決断をされました。この出来事によって、JFAへの登録はしたものの公式戦ができなくなり、サッカーをする環境が閉ざされた状況になりました。

そうなると、やはり選手がかわいそうでしたので、それなら新チームを創ろうと思い立ち、旧友であり千葉県の強豪チームJSC CHIBAの代表である川島和彦さんの協力を得て、大阪で新しいチームを立ち上げることにしました。それが、今のJSC SAKAIです。

創設期でのジュニアユース立ち上げ

JSC SAKAIの創設当初は、JFAに正式登録も行い、幼稚園児と小学生を指導していました。これから徐々に体制を整えていこうと考えていた矢先に、2期生が大きな成長を遂げたことで良い選手が多くなり、保護者の方々の依頼もあって、創設間もないタイミングではありましたが、ジュニアユース(中学生)も立ち上げることにしました。

この大きな決断に踏み切った理由は、がんを乗り越えることができた経験です。がんが奇跡的に消え去ったことは、私だけの努力だけではありません。家族の協力、自分の大好きなサッカー指導をできていたこと、そして保護者の励ましや支えもあって、元気になれたと思っています。

諦めないで努力をしていれば、誰かが見てくれているし、何かのご縁で助けてくれたりして、
必ず道は開けるという経験があったからこそ、この大きな決断に踏み切ることができました。

最大9年一貫教育の指導。
各カテゴリーでの具体的な指導内容について

JSC SAKAIには年代別に4つのカテゴリーがあります。本来であればカテゴリーは設けたくない、くくりたくないのが正直なところです。できれば、レベルごとに分けるのがベストだと思っています。

日本のサッカーでは、今なんとなく学年ごとに分けるのがわかりやすいということがあるのですが、本来は自分のレベルにあったところに飛び込んでやって欲しいと思っています。しかし、学年毎に学校の授業が終わる時間が変わったりもしますので、単純な問題ではないのですが、本来であればレベルが上がった子には学年を超えてやってもらいたいという想いはあります。

少し話は逸れましたが、私たちは個人にフォーカスして、どこにいっても通用する足元の技術、個人戦術を最大9年一貫教育というカタチで指導して、サッカー選手としての土台を築いていけるように努めています。

まずは未就学児~小学校2年生ぐらいまでにドリブルのトレーニングでベースをつくり、技術を高めます。技術と言うのはボールを運ぶ技術のことで、そこを全て高めていきます。

そして、小学3年生~4年生頃から、サッカーの個人戦術はドリブルだけでは身に付かないので、ドリブルのトレーニングと同時並行でするのですが、特にボールを離す、つまりパスの技術を磨いていきます。

サッカーで必要な技術『止める』『蹴る』『運ぶ』を用いて、周りをしっかり見ながらパスをするという選択肢を入れることで、ボールがあって、自陣ゴールを守りながら、ゴールを奪うために相手のどこを攻めていけばよいのか。ということを実践できることに重点を置いてトレーニングします。

そして、小学5年生~6年生で個人戦術を仕上げていきます。
ポジショニングはもちろん、ボールを持っている状況で、どういう意図を持って何を狙うかという判断力を鍛え、どんな状況でも闘えるようにします。それは、もちろん守備面においてもです。

なぜ判断力を鍛えるかと言いますと、システマチックに決められたチームコンセプトの中で、このパターンでは誰かがここに動いているから必ずパスをするというような、自分の判断が伴わないようなやり方は、選手として楽なのかもしれませんが、サッカーはピッチの上では状況が刻一刻と変化するスポーツですので、自分で考える力無くして成長することはないと考えているためです。

それを身に付けたうえで、中学1年生でもう一度ドリブルの技術を高めていきます。その理由は、スキャモンの発育曲線※における神経系のピークは小学6年生までなのですが、実は中学1年生頃までは、まだ伸ばすことができるのです。

だからこそ、最後にこのタイミングで技術を高めるのです。例えば、今から私がピアノを弾いてもすぐに弾けるようになることはないです。しかし、幼少期からやっていればブラインドタッチで勝手に手が動きます。

もっとわかりやすく言いますと、幼少期に自転車に乗れるようになれば、大人になっても、おじいちゃん・おばあちゃんになっても、自転車に乗れます。これは、神経系の発達がピークの時期に覚えた技術というのは、練習しなくても身体が忘れないためです。
ですので、中学1年生という時期は、無意識に出せる一生モノの技術として身に付けることができる最後のタイミングなので、もう一度ドリブルの技術を高めます。技術を高める具体的な方法としては、ドリブルトレーニングの頻度を高めたり、練習試合であえて2,3人抜いてからパスを出すなどのルールを設定する場合もあります。

ある意味、無理矢理にでもドリブルを思い出させるようなところはあります。
しかし、この年代でドリブルに比重を置いてトレーニングをしていくことで、そこから更に技術に磨きがかかってきます。

また、中学2年生頃になると身長が急激に伸びることによって、クラムジー(体の感覚の変化と柔軟性の低下)によって、どうしても重心がブレてしまうことがあります。極端な子の場合、リフティングが思うようにできなくなったりします。

そのためにも、その時期になるまでに必要な技術を高めておけば、時間の経過とともにまた元の状態に戻りやすくなります。あとは中学2年生~中学3年生は飛躍の年齢なので、その子の持っている個性を自由に伸ばしていきます。

神経系は生まれて5歳頃までに成人の80%の成長を遂げ、12歳までにほぼ100%まで達すると言われます。この時期は、神経系の発達が著しく、さまざまな神経回路が形成されていくことで、プレ・ゴールデンエイジ、ゴールデンエイジと呼ばれる時期になります。

神経回路は、一度その経路が形成されるとなかなか消えません。この時期に多くの刺激を与える、多種多様な動きを経験させることがとても重要になります。

また、最近ではヨガ講師の指導内容を取り入れ、ウォーミングアップ時にヨガトレーニングもします。これは、サッカー選手にとって必要不可欠な股関節周りを柔らかくするためです。股関節の可動域や柔軟性を高めることは非常に重要で、ドリブルやキックの質に大きく影響します。

また、Jリーグの下部組織などが行っているように、定期的に全選手の体力測定も行います。これにより、選手たちはもっとトレーニングを積んだ方が良いポイントに気付き、同年代の中で自分の各能力の値がどういう状況なのかを把握できることで、より自己研鑽を意識できます。

そして、別の観点でお話をしますと、ユース世代のスカウティングの方々とのコミュニケーションを取ることがあった際に、選手たちの体力データがあることは、こういった選手を探しているというスカウティング側と、こういう選手がいますということを伝えたいクラブチーム側と、双方にとってプラスに作用するのです。

JSC SAKAI = ドリブルについて

対戦チームの関係者、保護者の方々には、JSC SAKAI=ドリブルというイメージがあると思いますが、私自身は、

『魅せて勝ちたい』

と思っています。魅せて勝つというのは、見ている人が「この子上手いな」「この子強いな」「この子めっちゃドリブルするけど強く闘えるな」と思うことです。

例えば、ドリブルのボールタッチひとつにしても、JSC SAKAIのユニフォーム着ていたら、ドリブルを仕掛けるんだろうなと周りの方は思われると思うのですが、将来選抜チームやトレセンの試合であったり、もっと言いますと高校生の試合を見た時に、「この子上手いな、どこのチームの子なんだろう、あぁあの子はJSC SAKAI出身か」と思われるような、JSC SAKAIのユニフォームを着ていなくても、誰が見てもこの子上手いなと思われる選手に育てたいのです。

その方法として一番最初にやっていることがドリブルなのです。

ドリブルが上手くなると相手からボールを取られなくなり、相手を抜くことができます。
そして、最大の魅力は、

『顔が上がってくる』

ことです。

ドリブルが上手くなるとボールを持った時に、ボールを取られる不安が無くなり、ボールを取られない自信が持てます。
そして、顔が上がるとボールをあまり見なくても周りを見れるようになるので
何ができるようになるかと言いますと『良い判断』ができるようになります。

そうすると、周りが見えているので、どんなチームにいっても活躍できるようになるのです。

正直、日本代表の三笘薫選手のようにスピードのある選手は、最後のところでも縦に抜いてドリブル突破をしていけると思うのですが、実はドリブルが上手くなると足のスピードが速くなくても、周りを見ながら相手を外してスルーパスを通すことができたり、つなぎのパスを出せたり、結局のところ良い判断ができるようになります。しかも、ボールを取られないので、チームにとって必要な存在になります。

ですので、私たちはドリブルのトレーニングを用いながら、サッカーの個人戦術をそれぞれ身に付けさせてあげて、どんなチームに行っても活躍できる選手に育て、もしそこにスピードや運がついたら、日本を代表する選手が育てられるかなというのが私の考えです。

ドリ塾の監督をしている理由

今のお話につながりますが、私はJSC SAKAIの監督であり、ドリ塾の監督でもあります。ドリ塾とは、その名のとおりドリブルを徹底的に磨くトレーニングをしていくのですが、ドリ塾にはJSC SAKAIの選手だけでなく、大阪府下の別チームの選手達も数多く在籍しています。

先程もお話しましたように、できるだけ早いタイミングでドリブルが上手くなる子を一人でも増やしたい、それはJSC SAKAIの選手に限らずということで、ドリ塾を運営しています。私が幼少期にサッカーを教わった時は、蹴って走ればかりでしたので、余計そのように想うのです。

そして、昨今は強豪と言われるチームほど、チームの練習日には練習もしますが試合が多く入り、技術を身に付ける練習は各自どこかのスクールに通って身に付けてきてください。というように効率を求めるようなスタンスのチームが増えてきています。

JSC SAKAIは別のスタンスでして、練習日はドリブルに重点を置いた練習も試合も行い、そのうえで更にドリブルを磨きたい人は、他ではなく私たちが運営するドリ塾に来て技を磨いてくださいというスタンスです。

最大9年一貫教育のチーム運営に加えて、なぜドリ塾も含めてそこまで大変な手間をかけて育成を充実させた体制にするのですかと保護者の方から聞かれることもありますが、やはり『オリジナルな選手』をとことん輩出したいからです。

JSC SAKAIのチーム練習中にドリブルの練習はもちろん重点的にするのですが、他にもチームとして練習することはたくさんあるので、もっとドリブルを磨きたいなら、他のスクールに行くのではなく、私たちが運営するドリ塾に通ってもっとドリブルを磨こうよと思い創設しました。

ドリ塾では一人一人個別に、「この場面ではどのドリブルを使うの?」「今なぜこっちを向いてドリブルをしていたの?」など、何を意識していたかを確認しながら、より掘り下げて教えることもできます。

また、ドリ塾では他のチームや学校の選手が在籍していますので、公式戦や練習試合でリアルに戦うという場合もあります。ですので、ドリ塾でも高い意識を持って、みんなが技術を磨き合うことができるのです。

そうすると、JSC SAKAIの育成にもつながりますし、他のチームの育成にもつながると思っていますし、粗削りなドリブルの技術を繊細にできるなど、ドリブルを細かなところまで磨きをかけることができる時間、つまりドリブルにこだわる時間になるのです。

ドリブルができれば、大人になっても、おじいちゃんになってもサッカーを楽しめるのです。
私自身が今54歳なのですが、今でもサッカーが楽しいです。それは、ドリブルができればパスも上手くなり、ボールの置きどころも良くなり、シュートも丁寧に狙えます。

なかには幼少期にサッカーへの興味が湧き、サッカーをはじめる初めの一歩として、
習い事のサッカースクールに通う感覚でドリ塾に入り、
ドリブルが上手くなったことでサッカーにのめりこんでいく子もいます。

結局幼少期からドリブルが上手であることは、良いとこ取りだと思うのです。
私が今からピアノを練習してもできないことと一緒で、
50歳を越えてからドリブルをしても絶対に上手くはならないのです。

途中入団について

新しく入団してくる子どもたちは、体験や入団当初で「みんなドリブルめっちゃ上手いやん!」となり、そこに魅力を感じて自分も同じようになることを目指していきます。

ですので、サッカーが上手くなりたいという気持ちを持って、しっかりと練習をしていれば、入団当初は差があったとしても、しばらくするとドリブルの技術も追いついてくるのです。

理由としましては、子どもたちは柔軟な年代ですので吸収が早いということと、JSC SAKAIの選手がお手本となり、ある意味コーチになっているためです。

学び方には、コーチから教わることと、自分で見て学ぶということがあります。むしろ、自分で見て学ぶことの方が大事です。ですので、上手い選手を見てこうするのかと思ってやる子の方が成長が早いのです。

また、トレーニング自体をらせん状になるように行っています。ここはドリブルの時間、次にパスの時間、その次は判断の時間とやっていき、その後また戻ってくるようにしています。そして、戻ってきた時にみんなで修正して、少しスピードが上がったり、顔が上がるようになっていたりします。そして、それができていない子については、また丁寧に一からやっていこうとなります。

ドリブルをはじめ、常にどのトレーニングも戻ってくるようにしていますので、その間に自分で学ぶ力を使う、あるいは自分で頑張ろうとする力を使って追いついてくるようになります。

また、他のチームから移籍して入団された子どもは、JSC SAKAIの子どもたちが知らないことを知っている可能性があります。それは、お互いにとってすごく良い影響を及ぼすことですので、お互いが認め合うことにもつながります。

はじめのうちドリブルが上手にできなくても、それは今まで重点的にやっていなかっただけですので、私やコーチも含め、新しく入団した子どもの良いところを尊重し、子どもたちにも伝えながら、フォローしています。

そうすると、私やコーチだけが教えるのではなく、選手という良いお手本も含めてチーム全体として教えることになりますので、途中入団かどうか問わずドリブルが苦手という子も、もちろん成長スピードに個人差はありますが、みなさん自然と技術は向上していきます。

ですので、保護者の方はご心配されなくて良いと思いますし、私たちもそこに関しては心配しておりません。

JSC SAKAIの指導方針について

今でこそ保護者からは、「子どもたちは、練習に集中しながらも、みんな楽しんでいますね」と言われることがありますが、昔は私も厳しい指導をしていたみたいで、先日もJFLに所属している卒団生が顔を出した時に、「とにかく怖かった」と言われました。

彼に限らず、卒団生はよく顔を出してくれますが、みんな怖いイメージしかないと言われます。今の私を知っている方は意外と思われるかもしれませんが、尖がっている時代もあったということです。

それは、熱い気持ちが前面に出ていたということもあり、負けてヘラヘラしていたり、闘わない選手に怒って厳しく言っていたのだと思いますが、根底として変わらないことが、くやしいという気持ちであったり、負けず嫌いであることは、成長に欠かせない大切な要素だということです。

今はもっていき方を自分なりに身に付いたので、昔のような厳しい言い方での指導はしていないですね。

サッカー指導者として大切にしている想い

今振り返りますと、昔は勝つことばかりを考えて指導していたように思います。しかし、それと同時に感じていたことが、試合で子どもたちが頑張っていれば勝つこともあるし、負けることもあります。

そのなかで、これは保護者目線とも言えますが、一生懸命サッカーをしている子どもの姿を見ることがものすごく好きになりました。そして、勝った時に子どもが泣いて喜んでいる、その子どもの姿を見て喜んでいる保護者を見ることも、たまらなく好きになってしまいました。

『人の喜びを自分の喜びと変えられる』
という言葉があるのですが、まさにこういうことなのだと思いました。

正直、私の職業であるサッカー指導者は、サッカーが好きなことは当然だと思いますし、サッカーを教えることが上手いだけでは、今の時代では無理だと思っています。一番大切なことは、『人間が好き』であることだと思っています。

もちろん仕事で関わる人に、自分と合う人もいれば苦手な人がいる場合もありますが、
苦手な人も含めて好きにならないと、この仕事を続けることはできないと思っています。
当然、厳しいご指摘を受ける時もありますが、
それを自分の力に変えてやっていくことが大切だと今も感じています。

そして、今は創設当初のように勝つことばかりを考えた指導はしておらず、選手の将来を見越した指導をしていますが、
本当はもっともっと子どもたちを上手くしてあげたいし、勝った時の喜びを味わってもらえるようにしてあげたいと思っているので、
そこは日々私たちも努力しなければいけないところだと思っています。

今の時代、競わせない教育になってきていると思いますが、私はサッカーくらい闘っていって良いと思っています。そして、勝つことが大好きな子より、負けるのが嫌いな子の方がずっと伸びるというのは、今もこれまでも子どもたちを見ていて思うところです。

ですので、場合によっては、そういう子を上のカテゴリーに入れたりもします。上手い子は、ずっと同学年としていても上手くならないので、負けを覚えて、今はかなわないなと思った方がまた頑張ります。

JSC SAKAIはジュニアユース(中学生)もあるので、小学6年生をジュニアユースの練習に入れたりするのは、そういうことです。

現在は、未就学児~U8(小学2年生)、U9~U12(小学3年生~6年生)、U13~U15(中学1年生~3年生)、というように2,3学年違うカテゴリーの子どもたちで一緒に練習、試合を行っています。

保護者からは、「子どもたちが本気でサッカーをしていることが、練習からも試合からも伝わってくるけど、変にギスギスした雰囲気は無いし、楽しそうにサッカーをしている」と言われることがありますが、練習中のミニゲームでも絶対に負けたくない子どもたちが多いことも、そのように言われる理由の一つなのかもしれません。

対外試合のマッチメイクについての考え方

対外試合についてまず理想を言いますと、トレーニングしているテーマを引き出してくれるチームとの試合がベストですが、相手があってのことですので、そのような試合ばかりを組むことはできません。

そこで、カップ戦の良いところが出てくるのですが、カップ戦では『勝ち切る力』であったり、今まで対戦したことのないチームとの試合によって得られる経験値であったり、自分たちがされて嫌なことをやってくるチームと対戦できるところ良いところです。

しかし、カップ戦ではどのような試合になるかは当日になってみないとわからないことが多いという面もあります。
今私たちのチームの何を引き出してくれるということを、現場ではなく事前にわかることができるようなマッチメイクを、
今後もっとしていきたいと考えています。

対外試合数についての考え方

例えば1日1試合、それを1か月2回だけ行ってサッカーが上手くなるとは思えないので、できるだけ試合数を組むようにします。

小学生であれば乳酸が溜まらないので、数試合やってもそこまで負担がかからないと思っています。ただし、10試合とか多すぎると選手のパフォーマンスが落ちてきて、根性論になってしまうので、そのような試合の組み方はしていないです。1日3~4試合、それを月に何度もできることが一番良いと考えています。

ただ、子どもたちがサッカー漬けの生活にならないように気を配ってマッチメイクするようにしています。それは、子どもたちにとって、家族との時間、兄弟の運動会や音楽会を見る時間、家族みんなで旅行に行く時間も、私はとても大切な時間だと考えているからです。

また、文武両道はサッカーの基本だと思っています。サッカーは頭も使うスポーツなので、勉強も大切なのです。
勉強もサッカーと同じで、習慣にしてようやく自分の身に付くものです。

あとは、本来もっと事前にいつこういう試合がありますよとお知らせできれば良いのですが、
小学校高学年は公式戦がいつ入るかわからないような状況でして、月末近くに翌月分がわかったりするので、
なかなか思ったようにマッチメイク自体も組みづらい時もあるのも事実です。

JSC SAKAIにとって勝つ体験とは

勝つということは当然大切なことです。
JSC SAKAIはJFA主催の全国大会に出るための試合にも参加しています。
そのうえで、チームとしての目標は2つあります。

1つ目の目標は、大阪府大会で優勝して、関西大会に出場、あるいは全国大会に出場して、ベスト4に入ることを目指し、できれば優勝することです。

出場できるのは大阪から1チームのため、こういった大会の公式戦は相手も真剣で本気勝負となりますので、自分たちに本当の力がどのくらいあるのかを試せる絶好の機会になります。
そこで負けると力が足りなかったということになりますが、負けた方が当然次につながることも多いです。

ですので、大きな大会の頂点を目指す真剣勝負の公式戦に出場して、そこで勝つ体験と、そこで負けることで身に染みた課題を体感する、両方の過程が大切だと考えています。

2つ目の目標は、『違いで勝つ』になります。
勝つには2つあると考えていまして、『違いで勝つ』と『差で勝つ』です。

『差で勝つ』というのは、得点差で勝つことを意味します。1-0で勝ちました、0-5で負けましたということです。結果だけ見れば勝ったんだ、負けたんだとわかります。

しかし、この結果にたいして、どうやって勝ったんだ、どうやって負けたんだということの方が大切だと考えていまして、それが『違いで勝つ』になります。そこが先程申し上げた『魅せて勝つ』につながるところがあります。

例えば、サッカーの試合で、点差としては3-0で勝った試合だけど、ボールポゼッションで相手が上、ドリブルの技術も相手が上、内容として全然うまくいっていない、むしろ負けている部分が多いという試合があると思います。それは、『差』では勝っているのですが、チームとして個々としての『違い』では負けているのです。
選手にとっては実りのある結果とは言えないですし、違和感も残るでしょうし、これで良いのかという疑問が残るのです。

ですので、今まで負けてきた相手に勝つことや、目標としているチームに勝つことも勝負においては当然大切なのですが、各年代ごとに必要な技術を段階的に身に付けられるように指導する一貫性によって、チームとして個人として『違いで勝つ』ことの方がもっと大切だと考えています。

その延長線上のお話としまして、低学年の時は強かったのにと言われるチームがありますが、JSC SAKAIはそのパターンがありません。

低学年では負けていたチームに対して、高学年になると追いついて勝てるようになったりと、そこは違いによって勝つことができるようになってくるためです。

また、私たちが『勝つ』ということを意識させる時もありますが、子どもたちは自分でわかっています。昨年負けた相手だからこそ今日は絶対に勝ちたいなど、自分でスイッチを入れ、勝利へのこだわりが必然と出てきます。

ですので、子どもたちが勝利への執念を身に付けるためにも、負けから課題を見つけて更に上手くなろうという向上心を持って成長していくためにも、勝つだけではなく負ける経験も当然必要なことなのです。

もちろん負けが続いて結果が出ていないと、子どもたちは自信をなくしがちなのですが、私たちから見たら内容が全然良い場合が多いので、自信を持ってやって良いんだよと、本当の勝負はもっと先にあるよと伝えています。

JSC SAKAIでは、ジュニアユース・ジュニア共に、公式戦へ出る限りは大阪のTOPを獲って全国大会を目指すということはありますが、
本当の勝負はそこに至るまでの勝ち負けの過程と、その先にある選手個人個人が活躍できる未来にこだわることが、
選手の将来を見据えた育成だと考えています。

そして、個人個人を育成して、『個で負けない力』を持った
中身のあるチームにすることが大切だと考えています。

人間力

JSC SAKAIの子どもたちには、

『諦めない心を持った人間』

になって欲しいと思っています。
色々な強さがあるかと思うのですが、それが本当の強さなのかと私は思いますし、やっぱり諦めない人こそ最強だと思っています。サッカーに限らず仕事でも同じことですが、諦めなければ、誰かが救ってくれることもありますし、JSC SAKAIからJリーガーになった選手も何人かいますが、どこかで諦めずにやり続けた人間だからこそ、なりたい自分になれたのだと考えています。

サッカー脳力

一言で言うと、ピッチ上で起こっていることを把握して、どこが空いているのかを判断できる力のことです。

どのように身に付けていくのかと言いますと、ドリブルができれば顔が上がる、顔が上がるから周りが見える、そうするとドローンではないですが、ピッチを上から俯瞰するような感覚になることさえあると思います。

元日本代表の中田英寿選手は、まさにこの力が備わっていた選手です。サッカー脳力を身に付けるためにも、ドリブル、個人戦術、周りを見るトレーニングで強化しています。

サッカースキル

各場面で正しい判断ができる力のことです。
もう少し具体的に言いますと、個人戦術を理解しながら、相手のスキルをどう捉えて、自分の引き出しから何をどうやって出すかを一瞬で決めていく力です。

サッカーはゴールを守って、ゴールを奪うスポーツなので、相手も当然ボールを奪うこともしてきますが、ゴールを守りながらボールを奪いに来るので、そこも理解したうえで、柔軟に対応できるような引き出しを全員に身に付けて欲しいと考えています。

そして、その引き出しが多い人の方が、スピードが無くても、身長が低くても、ちゃんとできる選手なのです。

日本代表の久保建英選手はまさにそうでして、相手、味方、試合の状況によって常にプレーを変えていきます。
久保選手も小学校時代から有名でしたし、試合をしたこともありますが当時からすごかったです。

相手がどう動くかわかっていて、自分の引き出しをたくさん持っているのだと思います。
得意の股抜きのシュートが、まさにそれです。
当時からみんなができそうでできないことをやっていました。

個人それぞれの将来を見越した指導がしたい

個人戦術の強化について具体的に言いますと、子どもたちそれぞれによって違うのですが、その子を見れば大体こういう選手に育てたいというビジョンが一人ずつ出てきます。

この子は将来的にこのポジションの選手になるだろうなとか、左サイドで活躍する選手になるだろうから今は右サイドで練習しようかなとか、この子がもしセンターバックになれたら代表選手くらいにはなるだろうなとか、そういうビジョンが出てくるのは、これまで選手を延べ3,000人ほど見てきたこともあるだろうとは思います。

ですので、一人一人を見ながら、個人それぞれの将来を見越したカタチで課題を変えていきたいのです。

実際、ドリブルの練習一つにしても、全員ボールの持ち方が違います。それはなぜかと言うと、自分のこだわりだけでなく、体型や股関節の位置が人それぞれあるわけで、この子のボールの持ち方なら、縦に行くより中に切れ込む方が上手いだろうなとかがあります。全員が同じトレーニングをするのですが、時にはあの時は中に切れ込んだ方が良いよとか、個人個人に合わせた指導をしています。

ちなみに、自分のチームだけでなく、相手チームの子どもたちも見るようにしています。元日本代表の清武弘嗣選手は、特に強豪校ではない大分県の明治北小学校1年生の時に出会いましたが、当初からむちゃくちゃ上手くて驚きました。この子がもし日本代表になったら、この子が基準になるよなと思ったことを今でも覚えています。

今JSC SAKAIのジュニアユースで頑張っている選手でも、幼稚園から輝くものを持った子もいますし、それこそタイプは違いますが清武選手と似ているところもあるなと思ったりもします。

誰が見ても上手い、この子は将来どうなるのだろう、Jリーガーか日本代表かなと思ったりもありますが、『成り方』は人それぞれ違います。

卒団生でオリンピック代表になったり、Jリーグで試合に出ている子もいたりしますが、本当に『成り方』は人それぞれで違うのです。運が良かったり、すごい真面目で努力家であったり、様々な要素が絡むのですが、共通点は全員同じで、『素直』なのです。

これは、スポーツに限らず社会に出てからの仕事においても同じだと思うのですが、しっかりと人の話を聴くことができる子なのです。

ちなみに、青森山田中学校に進学してキャプテンになった卒団生は、幼稚園の年少時にお兄ちゃんとお姉ちゃんについてくるカタチで入団した頃は、練習時におもちゃを持ってきて、グラウンドの端っこで砂遊びをしていました。

とにかく自由で、発想も豊かで、気分が乗った時にやるといった感じでした。
しかし、それはある意味とても素直さがあると思ったので、それはそれで有りだと思いました。

これまでたくさんの選手を指導してきたこともあって、
それぞれの選手個人個人をしっかり見れることが、私は得意なんだとは思います。

当然自分のこだわりというのもあるのですが、自分の理想の選手にしたいわけではなく、
その子に合った指導をしたいのです。

卒団生が活躍している理由

私は小学校・中学校年代で結果を求めることはもちろん大切だと思うのですが、そこばかり追い求めていくと失うものも多いと考えています。それを私たちが我慢しながら、どれだけこだわって、その年代の個人個人の課題に向き合ったトレーニング指導することができるかだと考えています。

今の時代、小学校のチームなどは、強ければ選手が集まる傾向にあります。そして、中学校では更にその傾向が強くなり、上位リーグの上位チームに選手がより集まります。

しかし、上位チームに行くためには何をしなければいけないかと言いますと、各チーム試合に勝たないといけないのです。

勝利ばかり求めていますと、中学生という育成強化するべき大切な最終時期に、こだわったトレーニングができないということになるのです。そこで結果を出したところで、本来身に付けないといけない技術を身に付けることができないまま、高校年代に入っていくことになるのです。これが、私が先程言っていた『失うもの』ということになります。
私は、中学校の実績だけで高校に入ったところで、活躍することは難しいと考えています。ですので、JSC SAKAIでは小学校6年生で一旦『仕上げる』のです。

JSC SAKAIを卒団して、青森山田中学校でキャプテンになった子は、小学校6年生までに個人戦術とドリブルの技術を仕上げています。セレッソのジュニアユースでエース№8を着けている子や、阪南大学で10番を着けている子もしかりで、他にも選手権に出るような強豪校に行っても足元の技術が評価されてレギュラーになっている子がいます。

彼らは小学校6年間で身に付けた個人戦術とドリブルの技術で、どこに行っても大丈夫という自信がありますし、だからこそ活躍できているのだと思っています。

そして、中学生になるタイミングで、選択肢は人それぞれあるとも思っていますが、できればJSC SAKAIジュニアユースでそのままあがってやってもらいたいと思っています。

なぜなら、未就学児を入れるともう少し期間がありますが、大きくは小学校1年生から中学3年間での9年一貫教育というカタチで一区切りと考えています。

JSC SAKAIで最大9年一貫教育の指導をした子どもたちが、どこにいっても通用する足元の技術・個人戦術を、各年代ごとに必要な技術として段階的に身に付けられるように指導し、サッカー選手としての土台を築いていけるように努めているからです。

ただ、それぞれの理由があって途中でJSC SAKAIから卒団する選手もいますが、どのタイミングで卒団しても、前述の指導をしておりますので、各年代ごとに必要な技術を身に付けてから卒団することになります。

また、私たちが大切にしている挨拶、礼儀、協力心など、サッカー以外の分野でも活躍できる人が持っている大切な要素を磨いていき、そして何より人としての成長に欠かせない『諦めない心』を培い、身に付けてもらうよう努めています。

だからこそ、卒団生で活躍できる子が出てきていると思っていますし、高校年代で頑張って、年代別代表になるような子や、Jリーガーなるような子が今後どんどん出てきてくれると嬉しいですね。

サッカーだけが人生ではなく、
サッカーを通じた人生もある

私はサッカー人生において、Jリーガーになったり、日本代表選手になることだけがゴールではないと考えています。

もちろん、指導した子たちがサッカーで活躍してくれるのは指導者冥利につきますし、私は子どもたちをプロにしたい、子どもたちはプロになりたいと、同じ夢を持っているので熱くなれているのですが、それだけが人生ではないとも思っています。
その理由は、全員がプロになれるわけではないですし、プロのチームは厳しい世界なので、契約が満了すると、そこでの仕事は終了するのも事実だからです。

そんな中、サッカー人口が増えてきたことによって、サッカーが生涯スポーツにもなってきています。サッカーが楽しいがゆえに、サッカーとの関わり方や支え方として、色々なカタチがあって良いと思っています。

例えば、コーチになってサッカーに関わる子、審判をやってみると面白くて審判の世界にいくという道を選ぶ子、自分はサッカーがそこまで上手ではなかったけどトレーナーとしてサッカー選手を支える子。

実際のところ卒団生には、コーチをしてくれている子、
サッカーの映像を制作する子、審判を目指している子がいます。

そして、そういった子たちの幼少期に共通していることは、素直さはもちろん、色々なことに興味があったり、
観察力があったり、人の話をよく聴いて相手が言いたいことを理解しようとしていた子が多いです。

卒団生が遊びに来てくれた時に、「そんな仕事をしてるんや、すごいな!」と言っていたのですが、
競技スポーツとしてのサッカーだけでなく、サッカーを通じて自分がやりたいことを見つけ、
サッカーを通じて生涯スポーツとしての仕事を見つけたことに、とても嬉しく思います。

今のJSC SAKAIの幼稚園児、小学生、中学生が大人になっても、サッカーを通じた仕事をしているのであれば、私がJSC SAKAIにいる限りは、「そんな立派な仕事をするようになったんやなぁ」と言って迎えて、JSC SAKAIが卒団生の還る場所になり、生涯スポーツとしてのサッカー人生を楽しんでもらえるための組織でいたいと考えています。

そして、JSC SAKAIの子どもたちの誰か一人でも、社会に出た時に、昔こんなこと言われていたなと、JSC SAKAIのチームコンセプトである、『BURN BLUE(青く燃えろ)』という言葉を思い出し、会社の部下であったり、あるいは自分の子どもにこんな言葉があるんだよと継承してくれたら、指導者冥利に尽きます。

KIDS PROGRAM

こども園のサッカー教室

保育園や幼稚園、こども園の
課内・課外教室を行っています。